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JARE58冬期総合訓練 2016.3.7~11

5日間の日程で始まった第58次日本南極地域観測隊冬期総合訓練。夏隊・越冬隊員合わせて62名が訓練生として参加しました。
『冬訓(ふゆくん)』と呼ばれるこの訓練。隊員候補者が一堂に集まる最初の機会です。

「また、来たの?」「好っきやねぇ」ってな会話があちこちで聞こえます。(お互いさま)

今回は南極観測と58次隊の概要を理解するとともに、座学・実技講習を通じて寒冷地における雪中行動の安全について学び、隊員相互の理解と親睦を図ることが目的です。

場所は長野県乗鞍高原。

1日目
宿泊施設である鈴蘭小屋にて到着早々からオリエンテーション、講話と続き一旦夕食を挟んで20時まで机上講義が行われます。

2日目
午前中は小屋にて机上講義。
午後から野外。地形図とコンパス、方位表を用いたルート工作(=一時的に安全が確保された道)訓練。
小川や柵などの障害物を氷海上のクラックなどに見立て、それらを避けながら安全なルートを確保していく実技訓練です。
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3日目。
ざーざーの雨で一日が始まりました。
そのため計画を変更し、午前はザイルを使った負傷者の搬送手法を屋内で学びます。
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午後から野外。
どしゃどしゃのみぞれ雪に変わり降りしきる中、装備を分担して幕営地まで数キロを歩きます。
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カメラを向けた途端、皆笑顔を見せてはいますが..

6~7名の班ごとに分かれてテント設営して夕食。
石油コンロで雪を溶かして飲料水を作りレトルトのカレーとインスタント飯を温めて喰う。コンロで冷えた体に暖を取り、びしょびしょに濡れたアウター、手袋、靴を乾かしながら班の仲間とわいわいがやがや雑談するのは楽しいものです。

お腹も満足して一通り楽しんだあとはツェルトで二人一組になって一泊ビバーグ。
雨風がしのげる程度の簡易テントですが、外気温が低い割にシュラフの性能がよいのか、寒さは全く感じられず。話に聞いていた「寒すぎて全然寝られん」ことはなく、狭さを除けば快適そのものでした。
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4日目
午前5時起き。
食堂テント・ツェルトを畳み、雪上技術を学びに再び歩きます。滑落しないようピッケルを使ってバランスを取りながら道なき斜面を登り、スノーシュー(西洋かんじき)を履いて深い雪面を歩き次の訓練場所まで向かいます。もう汗だくです。
最後はロープワークとクレバス脱出訓練。
このあたりは所属していた山岳会でも経験済みでありますが...

身体が重い。重すぎる。。

いちお、自慢しときますと10年前の当時から13キロ増えてますからね。
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夕方までみっちり体を動かした後は、小屋に戻り夕食を兼ねた親睦会。異なる部門の隊員の話を聞くことができる貴重な場です。

5日目
最終日の今日は3月11日。全員が講義部屋に集合し、犠牲となられた方々に対し哀悼の意を表すべく、1分間の黙とう。
副所長の講義を聞いたあと、持ち込んだ共同装備をバケツリレーでトラックに積み込んで終了。

かな~り疲れましたけど、Yath的には多くを学ぶことができたよい訓練でした。

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さて、次の夏期訓練までわずか3ヶ月。
いよいよ忙しくなります。

おきてがみ





南極観測のホームページ
国立極地研究所

by yath_y | 2016-03-12 21:35 | @南極 by Yath  

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